オーストラリアの雇用制度は手続きのオンライン化が進んでいるため、雇用主と被雇用者の雇用関係や、給与の受け取りなどが円滑に進むよう体制が整っています。しかし、そういった中でも給料やスーパーアニュエーションが支払われない、等のトラブルも少なくはありません。
今回の記事では、未払いの給料をめぐるトラブルになった際の対処方法と、トラブルを未然に防ぐ方法お伝えしていきます。
まずは給料の支払いがない場合に考えられる状況として、以下の点が挙げられます。
▶︎給料の振り込みプロセスに問題がある場合
初めて給料を受け取る際に振り込みがなかった場合は、雇用主に伝えた給料の銀行振り込みの詳細(支店番号やアカウント番号等)に間違いがなかったかを確認します。または、雇用主の支払いシステムのエラー等の場合は、振り込み手続きに不備がなかったかを調べましょう。
どちらも間違いがなく、確実に雇用主が振り込みの手続きを済ませているのに入金がないといった場合は、自分が契約している銀行に問い合わせて銀行側で対応してもらいます。
初回の振り込みではなく、これまで普通に支払われていたが、支払いがなかった場合においてもまずは雇用主に未払いになっていることを伝えて支払ってもらうようにしましょう。単純に、雇用主が支払い手続きを忘れている場合もあります。
▶︎雇用主が意図的に支払いをしていないと判断される場合
雇用開始前に雇用主と交わした契約内容を確認し、給料が明らかに「未払い」の状態になっていた場合は、Fairwork Ombudsman(通称: Fairwork)というオーストラリア政府の労働監査機関に相談します。この際、雇用主と確実に「雇用関係」にあったことを証明できる記録や書面があると役立つことがあります。例えば、署名済みの雇用契約書、過去に雇用主から支払いを受けていた場合は、その際の銀行振り込みの取引のスクリーンショット、ペイスリップ(給料明細)など。Fairworkに求められた際はすぐに提出できるように、前もって準備しておくのがいいでしょう。
Fairworkが調査ののち、雇用主に否があると決定された場合、雇用主は未払い分の給料を被雇用者に支払わなければならず、その指示に従わなかった場合、雇用主には罰金が科せられ、未払い分の支払いを法的に強制されます。
→ Fairworkに連絡後も進展がない場合
再度、Fairworkに連絡するか、または未払い分が蓄積しない早い段階で退職し、他の職場を探しましょう。少額の未払いであれば諦めがつくうちに転職するのもいいでしょう。解決するかどうか分からないトラブルを長期的に抱え、貴重なオーストラリアでの時間を無駄に過ごすことにならないようにその経験をばねに、新たに気持ちを切り替えるのも一つの方法です。
雇用主とのトラブルを避けるためには?
◉雇用契約書にて契約を交わす
雇用契約書には、特に決まったフォーマットは無いため通常は雇用主が準備します。一般的に雇用形態、給料、雇用開始日、試用期間、雇用終了になる場合の説明などが記されてあります。内容に不備がないか、そして雇用主の名前、ABN、所在と被雇用者の氏名を確認し、両者がサインしたものをデータであれば両者が、印刷物であれば原本を雇用主、そのコピーを被雇用者が保持しておきます。この雇用契約書は、法律では義務付けられておりませんので、雇用主によっては雇用契約書がないまま、口頭だけの説明のみでお仕事を開始することがあります。その際は雇用契約書を準備してもらえるか雇用主に聞いてみましょう。
◉ペイスリップ(給料明細)を保管しておく
未払いが発生した際に、過去に一度でも給料の支払いがあった場合はペイスリップも「雇用関係」にあった大切な証明になりますのでこちらも破棄しないようにしましょう。
ペイスリップは雇用主の名前、ABN、所在に、被雇用者の氏名、住所が明記されており、所得税の源泉徴収額や、スーパーアニュエーションの入金額、源泉徴収済みの支払われた金額など内容が明確に記されています。こちらの書類も雇用主と雇用関係にあったことを示すために有効になります。
最後に
雇用主とのトラブルには、雇用主と被雇用者が雇用契約を交わす際、説明されるべき内容や行われるべき手続き、事務作業を両者が怠り、雇用主と被雇用者での認識の違いから起こることもあります。トラブルを避けるためには雇用契約時の際、不明な点は必ず事前に確認しておきましょう。
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※この記事は2024年6月現在の情報をもとにしています。